vol.51 植物を知ると日々が豊かになる OBPの植栽に現れる個性と、管理の工夫

2021.11.30 更新

OBPの植栽事情の第2弾!(※第1弾はこちら)今回は、クリスタルタワー周辺の管理をしている株式会社朝日興産と、オプテージビル周辺を担当されている株式会社西川造園の、方々へお話を伺いました。
2回に続く取材で見えてきた、植物の楽しみ方や自然との向き合い方をお伝えします。

ビル管理者とともに植栽のコンセプトを共有し守る

ビル管理者とともに植栽のコンセプトを共有しを守る

OBPエリアを象徴するビルと言っても過言ではないクリスタルタワー。
こちらの植栽設計を丁寧に解説くださったのは、株式会社朝日興産の佐野さん。

ビル管理者とともに植栽のコンセプトを共有しを守る

クリスタルタワーの植栽においては、2018年に植栽維持管理仕様書を作成したそうです。関係者内で管理方法の方針を伝えるだけでなく、植栽管理のコンセプトをビルの管理担当者にも共有し連携することで、同じ方向を目指して植栽を維持しています。

できるだけ剪定を行わず、伸び伸び育てる

できるだけ剪定を行わず、伸び伸び育てる

佐野さんは次のようにお話されます。
「2018年に仕様書を作成した際、5つのコンセプトを立てました。全体を通して、クリスタルタワーの植栽で特徴的なのは、『できるだけ自然な雰囲気を残す』ということ。樹木の将来の姿を考えて、高木は敢えて “剪定しすぎない”ことで、日々の管理をしています。
出来るだけ伸び伸びと樹木が自然と成長していけるようにした上で、テナント様が過ごしていて気持ちが良いように低木やつる植物をこまめに手入れし、歩道などでは危険性を回避するために落下危険樹木の早期発見・除去をしています。」

南側の林では木漏れ日×ガラスの反射の美しい光の共演

南側の林では木漏れ日×ガラスの反射の美しい光の共演

ビルの周辺は色とりどりの花を植えた北側と、木々の密集した小さな林の南側に大きく分けられます。
南側の植栽は、ケヤキ・クスノキ・アラカシ・シラカシなどの高木をメインとした林部分が印象的。
1990年に竣工してから約30年。竣工時の写真を見せていただくと、当時はまばら状態。今ではボリュームたっぷりの緑に溢れ、自由に伸び伸びと育っている様子がうかがえます。
よく晴れた日には、クリスタルタワーのガラスに反射した光と木漏れ日がとても美しく、足元の遊歩道を眺めても頭上の木を眺めても、楽しめる場所となっています。

南側の林では木漏れ日×ガラスの反射の美しい光の共演

また、これからの秋冬は、霜が降りた美しさを楽しめる季節。
所々にあるカンツバキやオタフクナンテン、スイセンなどに注目です。
「四季折々で色合いを保てるようにしています。花が咲かない季節は、例えばドウダンツツジで紅い葉を楽しめるなど、あちらこちらで色を楽しんでいただけると思います。」
と、佐野さん。

美しい花の絨毯が広がる北側

美しい花の絨毯が広がる北側

一方、ビル正面に向かって右手側。北側の植栽は、ゆるやかな土手一面に、シバザクラ・タイム・ビンカミノール・フイリヤブランが植えられています。
開花がピークの春には、ピンク色や白色、紫色の色味で一面花の絨毯に。スロープを通行する方は存分に楽しめるでしょう。

また、クリスタルタワーを利用するワーカーさんは、屋内から眺めてみるのもオススメです。まるでリアルな図面を見ているかのような見え方はオフィスビルならではの楽しみ方ではないでしょうか。
2022年の春の楽しみ方の一つにぜひ加えてみてください。

植栽から生まれる地域とのコミュニケーション

植栽から生まれる地域とのコミュニケーション

クリスタルタワーの遊歩道はOBPワーカーだけでなく、地域の方にとっても憩いの場として利用されているようです。

「大阪城公園で散策した帰り道であったり、ラジオ体操の帰り道であったり、近くに来られた方々が通られますが、お花が好きな方であれば声を掛けられたりもします。
以前は、実生(みしょう)で育ったようなツバキもあり、ちょうど管理作業を行っている最中に、近隣にお住まいの方が声を掛けてこられました。『家で育てるから根ごとツバキをくれませんか?』とおっしゃるので、根からお渡ししたら喜んで帰られましたよ。」
と、ニコニコしながら佐野さんは教えてくださいました。
植栽はOBPと地域の方とをつなぐきっかけも作り出しているようです。

植物は、人間と同じく生きている

植物は、人間と同じく生きている

もうひとつ、OBPエリアの植栽について取材を進める中で、植栽に関わる方々が皆共通して話されることがありました。
それは「人間も、植物も、みんな同じ生き物である」ということ。

佐野さんは、常に花や樹木の成長差を見極めて、それぞれに合わせてケアを調整しているそうです。
「花や樹木にも個性があります。例えば、ある日葉が落ち出した時は、どこかの調子が悪い証拠です。葉をしっかり広げている時は、元気な証拠でもあり、エネルギーを使って葉を広げているので、葉がシュン…としているときは、エネルギーを使えない状態。人間が風邪などをひいたときに元気を出せないのと同じですよね。やはり植物も生き物だということなんです。」

OBPエリアでは場所によってはゴミや煙草の吸殻が目立つ箇所があります。
植物も同じように日々を生きていると考えると、ゴミが引っかかっている植物が可哀想な気がしてきますね。しかし、一人一人の心がけで改善できるはず!美しいOBPを作っていきましょう。

宿根草で魅せるオプテージビルの植栽

宿根草で魅せるオプテージビルの植栽

所変わって、オプテージビルの植栽へ。
こちらを管理される株式会社西川造園の皆さんにご案内いただきました。

オプテージビルは全体的に宿根草で魅せるデザインが特徴的。
「宿根草」とは多年草とも呼ばれる植物で、花を咲かせた後には枯れ、種を落とし、また花を咲かせる種類。花の咲く時期のほか、枯れた時期でさえ美しいとされ、最近では家庭のガーデニングでも人気が上がってきています。

宿根草で魅せるオプテージビルの植栽

オプテージビル正面から右側にかけて続く植栽は、シマトネリコ、オリーブなどの葉が小さくて軽やかな印象の樹木や、アベリアコンフェッティ、カレックス、シロタエギク、クリスマスローズ、ローズマリーなど、とにかく葉の形・色、茎の形、とにかく多種多様。個性的な品種がランダムに植えられています。
こちらの植栽に沿って歩けば、ちょっぴり欧風の景色も楽しめそうです。

カラフルな花以外にも“葉を楽しむ”ということを教えてくれる場所なのかもしれません。

実は隠れスポット?全長約250mのツツジ通り

実は隠れスポット?全長約250mのツツジ通り

寝屋川沿いのビル側にヒラドツツジが長く続く歩道があるのをご存知でしょうか?
オプテージビルからツイン21の敷地いっぱいに続くその長さは250mほど。

株式会社西川造園の干場さんによると、
「ツイン21のビルの植栽として、もともとヒラドツツジが植えられていました。オプテージビルを建てる際に、この植栽を設計した方は、もしかしたらこの通りを考慮しデザインされたのかもしれないですね。
4〜5月にかけてが満開の時期で、濃淡が効いた2種類のピンク色や、白色の花がミックスされて一直線に続くのでとても綺麗ですよ。」
とのことでした。

このツツジ通りは、主にJR東西線の「大阪城北詰駅」から降りた方々が使う導線になっているようですが、それでも人通りが少なく、ひょっとしたらOBPの隠れスポットと言えるかもしれません。

台風の時は夜間も泊まり込みで点検!

台風の時は夜間も泊まり込みで点検!

西川造園はオプテージビルのほか、ツイン21ビル・IMPビルの植栽も管理を手掛けています。古株のメンバーの方になると、OBPの植栽とは30年の付き合いになるそうです。
これだけ広範囲の管理となると、大変なのは台風の日。

「台風が来る日は、ビル管理の担当の方とも連携し、夜間泊まり込みで点検に来ています。倒木も十分にあり得ますから、時間ごとに点検に回り、枝木が折れてぶら下がっている箇所があれば、大変危険なので、朝の歩行者の方が来られる前には除去をします。」
と教えてくださいました。

2018年の台風21号の被害で樹木を整えたというエピソードは、前回・今回の取材ともに植栽管理の皆さんが口を揃えて話されたことでもありました。
台風の通った翌朝、安全に道を歩けるのは、こうした植栽管理の皆さんが陰で支えてくれているおかげなのですね。

変化に癒やされ、同じように大切にする

変化に癒やされ、同じように大切にする

OBPの植栽は、ぱっと見ただけではケヤキを中心として樹木が立ち並び、緑色の自然が広がる印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
2号にわたって植栽について掘り下げてみると、各ビルでの特徴、植物の種類をはじめ、1年を通して緑色以外にも楽しめる彩りがあることなどが分かりました。
そして、植物も呼吸をしながら生きていることを改めて感じさせられます。
季節の変化を楽しみ、時には私たちを癒やしてくれる植物ですが、同時に私たちが植物を大切にしていくことも必要ですね。

まずは、「あ、綺麗だな」「この花かわいい」といった興味を持つだけでも、OBPで過ごす日々が豊かになるのかもしれません。

Wanted!

OBP Style では、特集記事のネタを募集しています。
OBP内のイベントや活動、人、場所あるいはOBPに対する疑問、もっと知りたいことなど。
大阪ビジネスパークに関するテーマ限定ですが、様々なテーマを掘り上げていく予定です。
ぜひこのテーマをというのがおありでしたらご一報ください。
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