vol.39 映画の世界が現実に!?オプテージ5Gラボに見る未来予測

2020年9月15日、オプテージビルの3階・21階にできた「OPTAGE 5G LAB(研究所)」。5Gになるとか、AIがどうだとか、通信技術の話はちょっとなんだか難しい…そう感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
OBP Style編集部では、この5Gラボがどんな場所なのか、何が体験できるのか、5G通信で世界はどうなるのか取材。
できるだけわかりやすく、レポートします!

西日本初!「ローカル5G」のラボがOBPに登場

西日本初!「ローカル5G」のラボがOBPに登場

何よりまず特筆すべきは、「OPTAGE 5G LAB」が西日本初(※株式会社オプテージ調べ)となる「ローカル5G」のオープンラボであるということ。OBPエリアに西日本初の場所があるというだけでも誇らしく思えますね。

ラボの目的は、来場された方と5Gを利用した新たな価値を創造していくこと。
「ローカル5Gで世の中はどうなるの?」という疑問に対して、体感することで理解を深められます。
同時に、技術に関する専門知識をラボの方から聞くことができるので、例えば「ローカル5Gによって今抱えている課題はどのように解決されるのか」「こんな使い方をしたら面白い未来を創れるのではないか」といった対話が自然に生まれる場所となっています。

プライベートで5G電波を利用できるのが「ローカル5G」

プライベートで5G電波を利用できるのが「ローカル5G」

「OPTAGE 5G LAB」が取り扱うのは「ローカル5G」というもの。
これは携帯電話事業者が取り扱う広範囲の通信電波とは異なり、敷地内・建物内といった限られた空間で個別の利用が許される電波のことを言います。また、取り扱いには免許が必要とのこと。

このローカル5Gの導入がまず活かされるであろう現場は、主に工場やプラント、倉庫など遠隔操作が役立つ場面だと言われています。
現段階では、国の法整備や、電波そのものの特徴の研究が必要ではあるものの、1〜2年のうちに製造業を中心に利用が開始され、2023年以降には5G対応の機器が標準的に出始めることで、オフィス・教育現場・病院等で利用が拡大するとオプテージは想定しています。

3階は一般開放の展示スペース

3階は一般開放の展示スペース

ラボは、オプテージビルの3階および21階に設けられており、3階は一般の方も見学OK。21階は専用サイトより申し込みをされた方が入れます。

ずらっとモニターが並ぶ3階フロアは、一般の方も入場が可能な場所です。
ここで通信速度の速さや、大容量のデータ通信の可能性を確かめることができます。

大容量データの映像もすんなり表示

大容量データの映像もすんなり表示

近年テレビモニターなどで「4K」や「8K」というワードを聞くことが増えたのではないでしょうか?これは画素数を示しており大きいほど繊細な映像になります。
しかし、繊細であるほどデータ容量も大きく、通信も大量に。

例えば、パソコンでYouTubeを観ていると、通信の調子によってモザイク状に映像が乱れたことはありませんか?
5Gであれば、途中で止まることなく綺麗に映像が転送できるというわけです。
それは映し出されたモニターを見れば一目瞭然。
Web会議などで突然半目状態のまま固まってしまうことは一切なくなるのだろうな…と思わせる通信の安定さを感じます。

遠隔操作の指示は人の動きと同時に

遠隔操作の指示は人の動きと同時に

遠隔操作を体感する装置がこちら。
5G・4Gに接続されているそれぞれのiPadが並んでいます。
「スタート」ボタンをタップすると列車に信号が届いて動き出し、「ストップ」で列車を止めることができます。

遠隔操作の指示は人の動きと同時に

同時に「スタート」をタップすると、4Gの方は半周も遅れてスタートすることから、5Gの通信遅延がいかに少ないかが分かります。
もしも遠隔操作するのが自動運転などの交通に関わるものであったなら、信号の遅延は命取り。5Gの通信速度は安全・安心にも貢献するのだと分かります。
(現在はコロナウイルス感染症対策を考慮し21階で全て行いますが、通常は3階で操作すると21階の列車が動き、その様子はモニターに映し出されるという仕組みです。まさに言葉通りの「遠隔操作」ですね!)

VRでバーチャルの世界に浸る

VRでバーチャルの世界に浸る

さて、一般開放の3階展示スペースから21階に上がってみましょう。21階は、見学申込者以外、立入禁止となっており、メーカー企業などは自社の機器を持ちこんで動作テストができるとのこと。

この日一番の盛り上がりを見せたのが、VR。
ゴーグル、ヘッドホン、マイク、コントローラーのフル装備で、画面の中のキャラクターと一体化する体験ができます。
ゴーグルによって目の前も、背後も、360度バーチャルの世界へ。
マイクで拾われた自分の声も変換され、声優の方が出しているような声に。これはもう完全に自分の声ではなくなりました。
またキャラクターの指1本1本まで操作でき、途中から自分を忘れそうになる不思議な感覚へ陥ります。

これを接客に取り入れれば、遠隔地からの対応が可能になるほか、バックヤードでは誰でもキャラクターに扮することができ、常に一定の人物による対応が実現できます。

少子化など社会的問題の解決に大きく前進

今直面している多くの社会問題にもローカル5Gが貢献できることは数多くあります。
少子化によって、これまで知識や経験を持ったベテラン層から受け継ぐ人員が減少している問題においては、スムーズな遠隔操作とAIの組み合わせによって人員配置が不要に。

少子化など社会的問題の解決に大きく前進

AR技術により映像を映し出すことのできる眼鏡「スマートグラス」を利用すれば、体力的な限界で現場に出られなくなったベテラン層は、“監督”として若手に遠隔指示をすることも可能になります。
現場チェック+遠隔チェックというように視点を変えて確認できることはまた、人的なミスも防止できるでしょう。

しばしば「AIが仕事を奪う」といった騒がれ方がされますが、進化する5Gの通信技術や昨今の機械技術の組み合わせをもってすれば、直面する少子化問題の解決策としては有効と言えるのではないでしょうか。

無線になることで考えられる可能性は底知れず

無線になることで考えられる可能性は底知れず

遠隔操作、病院の設備、テレビ放送、など、身近な現場には、現在ほとんどの場所で有線ケーブルが存在します。
有線は通信の安定性があるため、これらケーブルの配線が欠かせません。
もしもローカル5Gで安定的な通信環境が整ったとしたらどうでしょう。
有線であるがゆえ限界があった作業・動作の可動域はぐんと自由になります。

例えば「演出」という括りで考えてみると、コンサートでは、アーティストのパフォーマンス範囲が広がり、それを追うカメラも自由に動けるので、ステージの大画面に映し出される映像も難なくクリア。
テレビの生中継は、中継車など大掛かりなセッティングもなくなるでしょう。
有線によって作られていた範囲の限界を突破できれば、演出に驚くほど変化が生まれそうですね。

次世代の柔らか発想に期待!

次世代の柔らか発想に期待!

さて、ローカル5Gラボの印象的だった点がもうひとつ。それはラボに所属するメンバーが20〜30代と若く、生き生きとされていたこと。
今回取材に際してご協力いただいた、5G事業化推進チームのマネージャー西田さんによると、
「メンバーは社内公募制度により「やりたい!」と自ら手を挙げた人などで構成されています。私が最年長(笑)で、20代、30代の若いメンバーが中心です。
近年は特に技術革新のスピードが激しく、常に新しいことへのチャレンジが必要です。柔軟な発想と体力の面では若い世代は有利だと思うので、期待しています。
何より、新しいことへの挑戦から、次世代のリーダーが育っていってもらえたら良いことですね。」
とのこと。

5Gラボの皆さんが楽しそうな表情を浮かべて取り組まれている姿も納得です。

5Gは誰もが挑戦の分野。だからこそ共創したい

5Gは誰もが挑戦の分野。だからこそ共創したい

ソリューション営業チームマネージャーの名畑さんは、OBPエリアに入居している他IT企業の方々とは横の繋がりも持たれています。
その中で思うことを教えてくださいました。

「OBPはIT機器メーカーや、通信事業の企業など、大手企業が集まるエリアでもあるので、コミュニケーションを取り合って、未来を語ったり共創ができたりすると良いですよね。
また大阪以外からも多数お問い合わせが来ますので、弊社ラボや、他企業の展示場などへ足を運んでいただくことで、人の集まるOBPエリアになることが期待できるのではないかと思います。」

映画の世界はすぐそこに!最先端技術が詰まったOBPエリア

映画の世界はすぐそこに!最先端技術が詰まったOBPエリア

高速・大容量・低遅延と言われていますが、新しい技術故に、解決しなくてはならない課題や、見えていない特性もまだまだあるのが5Gです。
しかし分からない部分がある分野だからこそ、企業連携でお互いの知恵をシェアしながら共に新たな未来を切り拓いていけるのが理想なのかもしれません。

そう考えると、IT分野のスペシャリストたちが集結しているOBPエリアには、出会いの場や話し合いの環境は既に整っており、共創するにはポテンシャルを持った場所と言えます。

5Gの世界が開かれたなら、SF映画で観ていた世界もいよいよ現実になってくるでしょう。
ここOBPから最先端技術が生み出されるかと思うと期待が膨らみますね!

Wanted!

OBP Style では、特集記事のネタを募集しています。
OBP内のイベントや活動、人、場所あるいはOBPに対する疑問、もっと知りたいことなど。
大阪ビジネスパークに関するテーマ限定ですが、様々なテーマを掘り上げていく予定です。
ぜひこのテーマをというのがおありでしたらご一報ください。
ご連絡は『OBPスタイル編集部』まで 

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