vol.47 「入り交じる」をテーマにワークプレイス改革 パナソニック コネクティッドソリューション社移転から見る大手企業の挑戦

2020年5月7日、パナソニック株式会社の社内カンパニーであるコネクティッドソリューションズ社(以降、CNS社)の「モバイルソリューションズ事業部」「ストレージ事業開発センター」が、読売テレビ旧社屋(ytv京橋ビル)に移転。
移転に伴い、社内レイアウトにおいてワークプレイス改革に挑戦されたとの情報を得たOBP Style編集部。CNS社がどのような工夫をされているのか、取材してきました!

社会との接点、ビルの要件、全てが揃った場所・OBPを移転先に

社会との接点、ビルの要件、全てが揃った場所・OBPを移転先に

今回移転をされたのは、ビジネスパーソンから長年支持されている「レッツノート」の開発を行うモバイルソリューションズ事業部と、データ保存の要とも言えるアーカイバーに携わるストレージ事業開発センターの2部門。

社会との接点、ビルの要件、全てが揃った場所・OBPを移転先に

移転の背景には、パナソニックグループ全体として掲げられている最適化目標である「各カンパニーそれぞれの一体感を実現する」をベースにした「ガラパゴスからの脱却」というCNS社のテーマがあります。
京橋・OBPエリアは、社員の大半が利用する京阪沿線が通るうえ、複数の鉄道沿線や、さまざまな人の交差が起きており、このテーマにフィット。さらに、開発センターでは耐久テストなどの実験設備を設けるうえで、建物の耐荷重要件をクリアするビルが必要となりますが、これも元テレビ局であったytv京橋ビルなら間違いありません。何よりも、OBPのまち開きには松下幸之助氏が大きく関わった縁のある場所です。
複数の要件がピタッと一致しており、まるで「来るべくして、来た」かのような印象です。

自分たちで働く環境を考え、作っていく

自分たちで働く環境を考え、作っていく

今回の移転で注目したい点は、社員全体で働く環境づくりに取り組んだこと。
CNS社は職場環境づくりについて「変わり続けるオフィス」というメインコンセプトを打ち出しました。時代や環境に合わせて、マインドも空間もアップデートし続けようという意味が込められています。

今回の移転でもこのコンセプトを踏まえ、モバイルソリューションズ事業部・ストレージ事業開発センターそれぞれで、働き方を改革すべくレイアウトのコンセプトを企画されました。
ガイドラインとして、共通キーワード「入り交じる」を指定。これを軸として各部門はコンセプトを考えます。
決める過程においても新しい感覚を大切にするため、トップダウンの形式ではなく、20代・30代を中心に意見を出し合ったそうです。

自分たちで働く環境を考え、作っていく

また、両部門ともに導入されている「フリーアドレス制」においては、実は全社員分の執務席は100%用意されておらず、コミュニケーション席など形式を変えて準備をされているというのも興味深い点。
コロナ禍以前より、Web会議等のリモート化を推進していたCNS社では、テレワークも積極的に行われているようで、休暇、外回り等なども含めると、一定数出社しない人数が常に存在することを計算していました。
アフターコロナになったとしても、社内全体で70%程度の稼働だとの予測をされており、席数に問題はないと見ています。

自分たちで働く環境を考え、作っていく

取材に際し社内をご案内くださった、CNS社人事センター 総務部の宮永さんは、
「コンセプトから什器の選定まで、自分たちが考えて場所づくりを行っていく。環境が変わるタイミングは考え方も変われるチャンスになります。」
と、今回の移転の重要性を話されます。

CNS社内見学!興味深いワークプレイスをPick up

普段ではなかなか他企業の社内を見ることはできませんが、今回CNS社内のいくつかの部屋を見学させていただきました。
編集部で興味深かった場所をピックアップしてご紹介しましょう。

出社はまずここへ。ストレージ事業開発センターの共用ユーティリティ

出社はまずここへ。ストレージ事業開発センターの共用ユーティリティ

写真映えもなかなか良いこの部屋は、共用ユーティリティと言われるフロアです。
ひとつの部署とは言え200名ほどの規模のストレージ事業開発センター。まずは部内メンバーの“入り交じり”を生む場所として企画されたそうです。

出社はまずここへ。ストレージ事業開発部の共用ユーティリティ

パーソナルロッカーや、会話も弾みそうなソファー・テーブル席に、カフェコーナーがあります。

出社はまずここへ。ストレージ事業開発部の共用ユーティリティ

ランダムなレイアウトには遊び心も感じられます。
実際に使用してみると、最もコミュニケーションの活性化にこだわったこの空間は、メンバーから一番好評を得ているとのこと。

技術部門ならでは?快適集中スペース

技術部門ならでは?快適集中スペース

両部署において大切にされている印象だったのはしっかりと集中できる場所。
仕事によっては、ひとたびパソコンに向かいだしたら、しばらく集中させてほしい方も多いのではないでしょうか。

間仕切りの完全な集中スペースや、考え事に集中できそうな眺めの良い個人席など、シェアオフィスやコワーキングスペースさながらの設備です。
休憩には対話のできるテーブルに移ったりすれば、仕事もメリハリがつきそうです。

時代に合わせた嬉しいコーナー。オンラインミーティング用コーナー

時代に合わせた嬉しいコーナー。オンラインミーティング用コーナー

コロナ禍に入ってからというもの、CNS社も多くの方がテレワークに入られたとのこと。そうなればオンライン会議は必須になります。
当初は少人数用の会議室がほしいとの要望が多かったそうですが、このようなオープンスペースの形でも使ってみれば問題はない様子です。
やってみなくては分からないこともあるので、「とりあえず一度実施してみる」という大切さが感じられます。

時には広い場所で!エントランスもお仕事OK

時には広い場所で!エントランスもお仕事OK

エントラス吹抜け部分の2階にも椅子とテーブルが。
こちらは主に休憩で使う方が多いとのことですが、仕事をされていてもOKとのこと。
部署を越えた様々な人が行き来するエントランスでは、たくさんの入り交じりが生まれそうです。
自由度の高いこのようなスタイルは老舗企業の中でも珍しいかもしれません。

まずは意識を変えるところから

宮永さんはこの移転を通じて、各部門のメンバーの意識を変えていかねばならないと言います。

「パナソニックはグループ全社を上げて全体的に変わろうという流れがあり、もちろんCNS社の私たちも変わらなければなりません。変わるべきはまず意識からだと思います。
移転前までは、自分たちの拠点として何でもやりたいことができる環境ではありました。しかし、今回はテナントとしての入居となり、大家さんから働く場所をお借りすることになります。
『今までこういうことをしていたではないか』ということにも限界が生まれます。この感覚を変えるのは一筋縄ではいかないこともありますが、ここは必ず変えていかなくてはならない点です。
また、フリーアドレス制を導入したものの、技術系の業務の観点からすると、場所を固定していることの方が都合が良いという認識もあります。これは大規模なインフラ整備になるとしても、どうしたらより自由に働く環境を選べるようにできるか考え続けなくてはならないと思っています。
たとえ時間を要するとしても、今まで通り維持するのではなく、一度やってみて、見えてきた課題に対してひとつずつ向き合うことが必要ではないでしょうか。」

現場の社員がオフィスの環境づくりに参画でき、とりあえずの実施や、改善を繰り返すことができる。このように積極的な取組をする会社なら、社員も日々働き方に工夫を凝らすことができて、仕事を楽しめそうです。

ビジネス街OBPへの移転は、社員の気持ちを変えた

ビジネス街OBPへの移転は、社員の気持ちを変えた

さて、移転して1年ほど経つ今、職場づくりを経験した社員の皆さんは、どのような意識の変化があったのでしょうか。
引き続き、宮永さんへ尋ねます。

「現場の皆さんの変化ははっきりと見て取れます。
もしかしたら移転が決まった時は『なぜ移るのか』と疑問を持った人もいたかもしれません。しかし、いざ移動してみたら、社員の方からは『え!こんなところで働けるの?!』とワクワクされる声が多く上がり、トータル的には好印象を持つ方がほとんどかと思います。
これまでと違い、すれ違うビジネスパーソン、見える景色、寄り道の場所などが一変したことは大きいのではないでしょうか。
私たち総務としては、移転に関わった皆さんが『自分たちでやらないといけないんだ』『自分たちの言ったことが形になった!』と感じられるように、まずは傾聴し、不可能なことはきちんと出来ないとはっきり示す。そのうえで、良い意見はきちんとアウトプットで見せる責任があると考えています。」

ビルが立ち並んだビジネス街へ仕事に来ているんだ!と感じることは、モチベーションUPに繋がっているようです。
OBPで働くことが自信となるように、OBPエリアもアップデートを続けなくてはなりません。

大企業に新たな風を吹かせる!挑戦を続けるパナソニック

CNS社から見ると、“様々なコミュニケーションの入り交じる街”京橋・OBPエリアへの期待は大きい模様。
宮永さんも「ここへ来たからには、様々なお客様と協力していきたいし、お役に立てるのであればOBPエリアの会社さんとも協力しながらいきたいです。」と話してくださいました。

世界に飛び出している大手企業がこのように挑戦を続ける姿には、ワクワクするものがあります。OBPで起きる化学変化に期待しつつ、全力で歓迎したいですね!

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