OBPスタイル|vol.18 大阪ビジネスパークを牽引する文化施設に いずみホール、30年目の挑戦

2018年6月から、ホールの改修とともに初めてパイプオルガンのオーバーホールを行ったいずみホール。作業期間中は大阪北部地震も起こりながらも、無事に4ヶ月にわたる点検を終えようとしています。
生まれ変わるパイプオルガンとともに、10月より運営を再開するいずみホールに今後の目標を伺いました。

音、空間ともに贅沢を感じられるホール

音、空間ともに贅沢を感じられるホール

まず、いずみホールについて知らない方へお伝えしたいのは、いずみホールが音響にこだわりを持った贅沢な空間であること。
質の高い音響のために、本来1,000席置ける客席を821席に。ほかにも壁や天井、8基のシャンデリアなど、いたる箇所で音響効果に対する緻密な計算が施されており、音へのこだわりが詰まったホールとなっています。席に深く腰掛けて、目を瞑って音を聴いてみれば、ホールの良さを体感できることでしょう。

個人でも本格的なホールを借りられる

個人でも本格的なホールを借りられる

意外とまだ知られていないのが、いずみホールを借りられる条件。
実は、アマチュアの個人も、プロの団体も、どんな方でも借りられるそうです。極論、個人で歌の練習に使用も可能。
これまでも様々な演奏家、プロミュージシャン達が立っているステージですが、個人にもその機会は用意されているようです。

世間の価値観とのズレに対抗した90年代

いずみホールがオープンしたのは1990年4月。当初は821席のホールでできる音楽が何かを追求し、ホールの規模に合わせた小〜中規模の人数で構成されるクラシック音楽を中心に行っていたそうです。
しかし、バブルを迎えた世の中は“大きければ大きい方が良い”“高価であればあるほど良い”という思考がトレンド。大規模で派手な音楽がもてはやされると同時に、海外旅行者の急増によって本場ヨーロッパの音楽を知る人も増加しました。
時代の動きが世間の価値観・経験に大きな変化をもたらし、いずみホールにもまた、新たな音楽の楽しみ方を求められるのでした。

バブル崩壊により工夫しなくてはならない時代へ

バブル崩壊により工夫する時代へ

「バブルが崩壊して後は、贅沢のできない時代を迎え予算もかけられない。そこで出てきたのが『何とか工夫しなくては』という発想。これまで大規模な構成が当たり前だった演奏を、中規模でも実現させるにはどうしたらよいか?という問いに対して挑戦が始まりました。また、海外旅行などでクラシックに関する経験値が高くなった聴衆に対しては、これまで行ってきた“本場の再現”をする演奏会では物足りなくなってしまいます。どのような演奏会をしていくか企画が問われるようにもなりました。
このように時代の変化とともに、常に “次の音楽の提案”を求められるようになり、私たちのあり方も変わらなくてはなりませんでした。」
と、いずみホールの副支配人である濱崎さんは当時を振り返ります。

大切なことは「アコースティック」への回帰

情報化社会となった現代では、インターネットで最新の音楽事情をリアルタイムに知ることができるようになりました。これにより、世の中の音楽トレンドや、コンクールで賞を取った演奏家の情報などを、個人がいち早く手に入れられる時代へと突入。
これまで演奏規模の変化、本場の演奏会実現への努力、音楽ジャンルを超えたイベントなど、様々な挑戦をしてきたという、いずみホールがたどり着いたのは「アコースティック」への回帰。

クラシック音楽を中心に運営してきたホールではあるものの、マイクやスピーカーの使用などにも門戸を開き、様々なジャンルの音楽を取り込んできた21世紀。「アコースティック」の素晴らしさに改めて気づくきっかけのひとつに、鈴木雅之やゴンチチ、夏川りみなど誰もが知るポップスの実力派アーティストによるコンサートがありました。
彼らが醸し出す音楽は、ジャンルは違えど素晴らしく「本物の音であれば、ジャンルを超えて、いずみホールの音響で生きる」という大きなヒントを与えたようです。

単なるビジネス街だけではないOBPへ

単なるビジネス街だけではないOBPへ

これらのヒストリーを踏まえ、リニューアル後のいずみホールはどのように在りたいか、濱崎さんへ伺ったところ、
「オープンしてからの28年間、様々な形式のイベントやコンサートを行う中で、どのような音がいずみホールに最も適しているのか考え続けてきました。これらの試行錯誤は私たちにとって大切な財産です。
その経験を踏まえて、次の30年は改めてホールで響く良い音を追求していこうと考えています。それはつまり『アコースティックへのこだわり』です。これだけ音にこだわって造られたいずみホールですから、『なんだかいずみホールは変わったね』という評判ではなく、『あ、やっぱりいずみホールは良い音がするね』と言われるようなホールにしていきたいと思います。」
とお答えくださいました。

また、OBPにおける文化施設としての使命について、
「OBPが単にビジネスをする場所ではなく文化も寄り添う地域であるために、いずみホールは文化施設の代表として先頭を走らなければならないと考えています。これは私たちにとっても地域貢献になります。本物の音を、できるだけ多くの皆さんに届け続けることが、私たちの使命です。」
と力強くお答えいただきました。

次なる試みはライブ配信

とは言え、時代はインターネットが中心。本物の音を届けるためにどのような方法があるか伺うと、現在、「ライブ配信」による新たなプロジェクトが動き出そうとしているところでした。
「いずみホールだからこそ響かせられる音楽があります。また、世界とつながることができる今の時代は切り口次第で色々な音楽の楽しみ方ができます。世界中の方へいずみホールの音を届けたいですね。」と濱崎さん。
まだまだ実験段階のプロジェクトへの協力というレベルですが、あらゆる環境、あらゆる人々が、いずみホールから発信する音楽を楽しめるようになるそうです。

10月より休みなしの再稼働

10月より休みなしの再稼働

2018年10月6日(金)に行われる「バッハ・オルガン作品全曲演奏会Vol.13」を皮切りに、いよいよ稼働を再開させるいずみホール。
この日からメンテナンス日も含めるとスケジュールはなんと休みなし。
再開を待ち望んでいる方もいらっしゃることでしょう。
パワーアップするいずみホールが次の30年、OBPの文化を先頭に立って盛り上げてくれることを楽しみにしています!

Wanted!

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