vol.15 開館30年に向けた大改修 パイプオルガンとともに進化するいずみホール

関西を代表するクラシックホールであるいずみホール。2018年で開館30周年を迎えるという節目に、ホールの改修とともにいずみホールのシンボルでもあるパイプオルガンが初めてのオーバーホールが行われています。
OBP Style vo.15はパイプオルガンの解体現場見学で、いずみホールがどのように変わろうとしているのか、オーバーホール見学会を取材しました。

贅沢空間、いずみホール

いずみホール

いずみホールは、天井や壁のデザインをはじめ、床、椅子、照明など、パイプオルガンを主役として設計されており、音響や空間へのこだわりが詰まった場所です。

照明にはシャンデリア

照明はシャンデリアが8基あり、ほんのりとした暖かな光を演出します。

シューボックス型のホール

ホール内は「シューボックス型」と呼ばれる形式を採用、演奏者から客席ひとりひとりの顔が見えるコンパクトな広さです。
本来は客席が1,000席置けるスペースでありながら、より質の高い音響を感じられるようにするために、821席と客席を減らしている点も特徴的。
足場が組まれていたにも関わらず、そこに座っているだけで、19世紀にタイムスリップしたような贅沢な気分にさせてくれます。

パイプオルガンは「古代のシンセサイザー」

パイプオルガンは大変システマチックにできており、「古代のシンセサイザー」と表現されるほど。

パイプオルガンの裏側

パイプオルガンの裏側は複雑に入り組んだ構造になっています。

パイプオルガンの歴史

その歴史は紀元前3世紀頃に遡り、現在のエジプトで発明されました。
当時は人力ではあったものの、風圧を利用して笛を鳴らす構造や、その笛の集合体によって成り立つ楽器であることは、今も変わらずパイプオルガンの基礎となっています。

一本として同じものはないパイプ

様々なパイプ

いずみホールのパイプオルガンは、3,623本ものパイプ、鍵盤とパイプをつなぐメカ構造、制御のための電気系統の仕組みによって成り立っているそうです。
パイプの素材は、木製・金属製と分かれています。金属製は錫と鉛の合金で、パイプの種類によってその比率が異なります。

木製パイプ

また、木製パイプにおいては、人間の聴覚を越える低さで体を振動させる音を出すものまであります。
素材・太さ・長さ全てを考慮すると、3,623本のパイプは一つとして同じものはないというから驚きです。
そんなパイプから紡ぎ出される音は、46種類のストップ(音栓・ノブ)を使って生み出され、音色の組み合わせはほぼ無数。オルガニストは「レジストレーション」と呼ばれる音作りの作業に多くの時間を費やすそうです。
美しい音楽の舞台裏では大規模な装置が動いていたのです。

開館後はじめての解体

オーバーホール

建物全体の耐震補強と快適性を目的とした今回の改修に合わせて、パイプオルガンも30年ぶり、初めてのオーバーホールが行われています。
オーバーホールとは、一度解体してから点検・清掃・組み立てを行う大掛かりなメンテナンスのこと。

都留氏

解体から整音まで4ヶ月もの期間をかけて、パイプと“ふいご”(音を鳴らすためにオルガンへ空気を送る部分)の総点検を行うそうです。
見学会では、オーバーホールの指揮を取られているヤマハ株式会社のパイプオルガン主幹技術者 都留裕幸氏による解説をいただきました。

日仏混合で丁寧に点検される

フランスからのスタッフ

現場には、フランスから来られた技術者3名も加わっての作業。いずみホールのパイプオルガンはフランス北東部、アルザス地方にあるケーニヒ社製のため、そこから技術者が派遣されています。
日本人チームと合わせて10名前後のスタッフが毎月ローテーションで担当されています。

金属パイプのスペシャリスト

金属パイプのスペシャリストも来日。
凹み、歪み等あれば、その部分を切り取って修理できる技術をお持ちです。

また、ひと通りクリーニングを終えてパイプを組み立てた後には、整音のスペシャリストもフランスより来られるとのこと。パイプオルガンの音は、そのオルガンの設計者が音質の基準を持っており、設計者本人、もしくは設計者のもと許可が下りた整音のスペシャリストがOKを出さなければ完成にならないそうです。
この手間のかけ方からも、いずみホールのパイプオルガンが如何に緻密で繊細なものであるかが伝わってきます。

30年経つも状態は良好

点検や清掃はパイプを1本ずつ解体し、30年分のホコリを取り除き、歪みや劣化などを調整し、戻すという作業をされています。

解体されたパイプ

解体されたパイプ。
きちんと順序どおり並べ、記号を付けて保管することで、元に戻す際に入れ違いを防止します。

丁寧にホコリを払う

鉛は柔らかい素材。パイプのホコリは刷毛でやさしく丁寧に払います。

都留氏によると、30年経った状態にしては劣化が最小限であり、いずみホールの行き届いた空調管理のおかげで状態良く保たれているそうです。

OBPワーカーもいずみホールを高評価

今回のオーバーホール見学会に来られていたOBPワーカーの小田さんにお話を伺いました。
「元々クラシック好きということもあり、いずみホールには年に1度ほど訪れます。随時いずみホールの情報はチェックして、気になったものを聴きに行くというスタイルです。このホールで聴く音は非常に良いと思います。パイプオルガンの音は体に響いてきたことを覚えています。メンテナンスによって今までとは音も変わると思いますが、どのようになるのか楽しみです。」
と改修後のパイプオルガンへの期待を語られました。また、
「クラシック音楽専用ホールがOBPにあるのはとても良いですね。仕事帰りなどにも寄れて、また、駅から近くて非常に便利だし、よく考えられているなと思います。」
と、OBPにいずみホールがあることについても高く評価されています。

大人の心をくすぐる空間と企画を

北嶋さん

いずみホールを運営する一般社団法人住友生命福祉文化財団の、企画部で広報編集グループリーダーを務めておられる北嶋さんに今回の改修工事に関するお話を伺うと、
「日頃よりお客様から様々なお声を頂戴しているので、今回の工事でより快適になればと考えております。また、構造上ハード面の改善が難しい点はどうしても出てきてしまいますので、そのような点はレセプショニストの対応でカバー出来るよう、日々接客を充実させています。」
とのことでした。
「現在はクラシックがお好きなOBPワーカーさんが一部来られている状況ですが、より多くの方に足を運んでいただけるような企画を日々考えております。パイプオルガンに限らず、生演奏を体感するのは、録音を聴くのとは全く違う音楽体験だと思います。クラシック音楽の敷居が高いと感じられている方でしたら、例えば、よく知られた名曲がプログラミングされたコンサートにまずお越しいただく、というのもひとつの近道かもしれませんね。足を運んでいただければ、何かしら心に残る体験をしていただけると思います。
いずみホールだけではありませんがコンサートホールは“大人が楽しめる場所”でもあります。そういう雰囲気も味わっていただければと思います。
OBPでお勤めの皆さんに『自分の街にはこれがあるんだ』と嬉しく思っていただけるような存在でありたいですね。
ワーカーの方はチケット割引などの優遇サービスもありますので、ホールで聴く圧倒的な厚みのある音を気軽に体感していただきたいです。」
と、OBPエリアでの目標をお話くださいました。

気軽に文化を感じられる場所

いずみホール

今回のパイプオルガンのオーバーホールや、建物の改修工事は9月いっぱいまで行われます。綺麗に整えられたパイプによって奏でられるオルガンの音色は、これまでともまた少し違う質感となるでしょう。
改修後初めてのお披露目として、2018年10月6日(土)に「バッハ・オルガン作品全曲演奏会Vol.13」を予定されています。

駅近で足を運びやすいいずみホール。大変荘厳で趣のあるこの贅沢空間に、気軽に寄れるというのは、OBPエリアがコンパクトであるがゆえ。これもまた、OBPの良さなのかもしれません。
日頃からOBPエリアで過ごされる方は、ぜひ一流の音楽を生活のエッセンスにしてみてはいかがでしょうか。

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